前妻の子がいた場合の相続手続き

文責:司法書士 岡田智大

作成日:2025年03月31日

前妻の子がいた場合の相続

  前妻(夫)の子どもがいる場合は前妻(夫)の子どもも相続人になります。

 夫が亡くなった場合、法定相続人となるのは、配偶者(後妻)と実子(前妻の子も含む)です。(前妻については離婚が成立しているため相続人になりません。)

 例えば、夫が後妻との間に1人、前妻との間に1人の子がいる場合、相続割合は以下のようになります。

後妻:1/2

後妻の子:1/4

前妻の子:1/4

前妻の子どもが夫と疎遠であっても、相続の権利は変わりません。遺産分割協議には、前妻の子も必ず参加する必要があります。

この場合における相続トラブルと対策

  1. 連絡が取れない前妻の子どもがいる

夫と前妻の子が長年疎遠だった場合、相続手続きを進める際に連絡が取れず、遺産分割協議がスムーズに進まないことがあります。

 この場合、家庭裁判所に「不在者財産管理人」の選任を申し立てることになりますが、時間と手間がかかります。

 

 対策:生前に話し合う、または遺言書を作成する

夫が生前に前妻の子どもと話し合い、相続について確認しておくことが理想的です。また、遺言書を作成し、遺産の分け方を明確にしておくことで、後のトラブルを回避できます。

 

 2. 前妻の子が「遺留分」を請求してくる

たとえ夫が「すべての財産を後妻に渡す」と遺言書を書いても、前妻の子には「遺留分」という最低限の取り分が認められています。遺留分は、法定相続分の1/2です。

例えば、遺産が2,000万円ある場合、通常の法定相続分は

後妻:1,000万円

前妻の子:500万円

後妻の子:500万円

遺留分の権利を行使すると、前妻の子は最低でも250万円を請求できることになります。

 

 対策:生前贈与や生命保険の活用

遺留分の対策として、夫が生前に後妻に贈与をしたり、夫を契約者・後妻を受取人とする生命保険を活用したりする方法があります。生命保険金は「相続財産」に含まれないため、遺留分の対象外になります。

生前にできる対策

1. 遺言書の作成

 遺言書があると、相続トラブルを大幅に防ぐことができます。

特に「公正証書遺言」にしておくと、偽造の心配がなく安心です。夫が「後妻とその子に多めに遺産を残したい」と考えているなら、遺言書で具体的な分配を決めることが必須です。

 

2. 家族信託の活用

 夫が生前に財産管理を後妻やその子どもに託す「家族信託」を利用することで、相続発生後のスムーズな財産承継が可能になります。

 

3. 生前贈与の計画

 夫が元気なうちに、後妻やその子に財産を分けておくことで、相続財産を減らし、前妻の子の遺留分請求を減らすことができます。

 ただし、贈与税がかかる可能性があるため、税理士に相談しながら進めるのがベストです。

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