相続人が行方不明の場合
相続人が行方不明の場合
消息不明の相続人がいる場合には、その相続人の住所を調査するところから始めましょう。
行方不明の相続人の住所を調べる方法として、その相続人の戸籍の附票を取得する方法があります。
戸籍の附票とは、その戸籍が作られてから現在に至るまでの住所が記録された戸籍です。戸籍の附票に「職権消除」の記録がなされている場合には、記録された住所地には居住の実態がないことになりますので、手紙や現地調査をしてもコンタクトをとれる確率が低いです。
行方不明の相続人の住所が分かったらコンタクトをとります。
一般的には「手紙」を郵送し、遺産分割協議等への協力を依頼します。
もしも、手紙が届いているのに無視されているようならば、現地に赴く方法も選択肢のひとつとして考えましょう。
行方不明の相続人の住所に本人が住んでいないような場合もあります。
そうした場合にはそのケースに会わせた手続きが必要です。
「不在者財産管理人の申立」
行方不明者本人の所在が単に不明な場合には「不在者財産管理人の申立」を行います。
相続人の中に不在者がいる場合には「不在者財産管理人」を家庭裁判所に選任してもらい、不在者に代わって遺産分割協議に参加してもらうことが可能となります。
ただし、不在者財産管理人の権限は、権限の定めのない代理人と同一であり、保存行為をはじめ、目的たる権利の性質を変えない範囲内での利用・改良を目的とする行為に限られます(民法28条、民法103条)。
そして、遺産分割協議は、権限外の行為となりますので、家庭裁判所の許可が必要となります。
「失踪宣告の申立」
もしも、行方不明者本人が死亡している可能性が高ければ「失踪宣告の申立」を行います。
失踪宣告とは、生死不明の者に対して、法律上死亡したものとみなす効果を生じさせる制度です。
不在者の生死が7年間明らかでないとき、または戦争・船舶の沈没・震災などの死亡の原因となる危難に遭遇し、その危機が去った後その生死が1年間明らかでないとき(危難失踪)に、失踪宣告の申立を行うことができます。
申立後は申立人や不在者の親族などに対し、家庭裁判所調査官による調査が行われます。その後、裁判所が定めた期間内に不在者は生存の届出をするように、不在者の生存を知っている人はその届出をするように、官報や裁判所の掲示板で催告をし、その期間内に届出などがなかったときに失踪の宣告がなされます。
失踪宣告がなされると、普通失踪の場合には不在者の生死が不明になってから7年間が満了したとき、特別失踪の場合には危難が去ったときに死亡したものとみなされ、不在者について相続が開始します。
また、申立人には戸籍法による届出義務がありますので、失踪宣告の審判が確定してから10日以内に市町村役場に「失踪の届出」をしなければなりません。