子や孫への教育資金一括贈与

作成者:司法書士 岡田智大

作成日:2024年07月28日

子や孫への教育資金一括贈与

 30歳未満の子や孫への直系尊属(父母や祖父母)からの教育資金の一括贈与は、一定の手続きを経て行えば1500万円までは非課税になります。

 相続税対策の生前贈与としてもこの一括贈与は非常に有効です。

 今回はこの一括贈与制度の概要を解説していきます。

教育資金の一括贈与とは何か

 教育資金の一括贈与と聞くと一括で大きな金額を全額贈与されることと勘違いされがちです。

 ですが実際は違います。贈与契約書を作成し、教育資金の一括贈与が利用出来る金融機関に口座を開設し、そこに教育資金の一括贈与をするお金を預けいれます。

 そして教育資金にあてた領収書を金融機関にもっていく等して口座からの払戻しを受けます。

 このように、口座に大きな額を入れておいて都度引き出すというのが教育資金の一括贈与です。

 子や孫がこの一括贈与を受けるには2点条件があります。

 それは「30歳未満であること」「合計所得金額が1000万円以下であること」です。

「給与の額面金額」ではなく「合計所得金額」が判断基準になる点は間違えないよう注意しましょう。

非課税になる教育資金の範囲には制限

 この一括贈与が非課税になる教育資金の範囲には制限があります。

 この教育資金は「①学校等に対して直接支払われるもの」と「②学校等以外の者に対して直接支払われるもの」に分けられます。

 ①は学校に直接支払われる入学金・授業料・入園料・保育料・入試検定料・修学旅行費・給食費等が該当します。

 ②は学校の物品代・塾や水泳などの習い事費用・通学定期代・留学渡航費等が該当します。

 また、23歳以上の受贈者に関しては「③教育訓練給付金対象となる教育訓練を受講するための費用」が範囲として加わります。

 この中で②③の学校等以外に直接支払われる金銭に対しては500万円を上限とする制限があります。

 教育資金の1500万円の内500万円までが利用できるということになります。

 このように何にいくら使えるのかがこまかく決まっているため、制度利用の際には子や孫の教育計画と照らし合わせて資金計画をたてていく必要があります。

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