何が特別受益にあたるのか

作成者:司法書士 岡田智大

作成日:2024年04月30日

特別受益にあたるかの判定

 特別受益にあたるかどうかは、その贈与が遺産の先渡しと認められるかどうかを基準としま す。

 贈与された金額や遺産総額との比較、他の共同相続人との均衡などを考慮して判断されます。

 明確な判断基準がないため相続人間による話し合いで決めます。相続人だけでは決めかねる場合には裁判所に判断を仰ぐこととなります。

・学費の援助

 大学や高等教育に関する学費は、親の子に対する扶養義務の履行に基づく支出ですので、基本的には特別受益にはあたりません。

 ですが、例えば私立医大の入学金や授業料のような特別に高額な学費については、扶養義務の範囲を超える特別受益にあたると判断される場合があります。

・婚姻に伴う金銭の贈与

 婚姻に際しての持参金・支度金等を支払っていた場合には婚姻のための贈与として特別受益にあたります。

 ですが、少額である場合や挙式費用の負担など、扶養の範囲内と認められるような場合には特別受益にはあたりません。

・住宅資金の援助や居住用不動産(土地・建物)の贈与

 生計への援助とみなされるため特別受益にあたると判断される場合があります。

 ですが、法改正により2019年7月1日以降は、結婚期間が20年以上の配偶者へ自宅を生前贈与した場合には、原則として、特別受益の対象外となります。

・その他金銭的支援

 事業を始めるための資金の贈与、借金の肩代わり、扶養の範囲を超える生活費の援助といった相続人の自立のための資本としての贈与は特別受益にあたります。

 しかし、たとえば病気で働けない相続人に対して親が生活費を援助するような場合には、親の扶養義務の履行に過ぎないため、特別受益の対象外になると思われます。

・生命保険金

 生命保険金の請求権は、保険金受取人の固有の権利です。

 保険金請求権やこの権利を行使して取得した死亡保険金は、民法に規定する遺贈または贈与に係る財産にはあたりません。

 しかし、最高裁は相続人の間に著しい不公平が生じる場合は、例外的に生命保険金を特別受益に準じて遺産に持ち戻すべきであるとの判断を示しています。

まとめ

 特別受益に関しては明確なラインがないため、固執しすぎると遺産分割協議が停滞しがちです。

 よほど多額の贈与や納得できない贈与がない限りは、生前になされた贈与とみなして遺産分割の話をすすめていくことが良いでしょう。

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