遺産分割協議書を作らないとどうなるか
1 遺産分割協議書を作成しなくてもできる手続きもある
遺産分割協議自体は、法的には、書面を作成することが成立の要件とはされておらず、口頭でも成立するとはされています。
そのため、遺産分割協議書を作成することが法的な義務であるとはされていません。
遺産のうち預貯金などについては、相続人全員で金融機関への相続届を作成して、必要な書類とともに提出をすれば、相続手続きをすることができますので、必ずしも遺産分割協議書を作成しなければならないことにはなりません。
解約された預貯金をどのようにするのかについて、手続きの事前または事後に決めた内容にしたがって、相続人間で分配ができれば、遺産分割協議書を作成しなくても、相続手続きができます。
しかし、そのような進め方をする場合でも、解約する預貯金の取決め内容などについての書面を作成して合意しておいた方が、後日のトラブルになるおそれは少なくなるでしょうから、トラブルを避けるためにはなるべく遺産分割協議書を作成しておいた方がよいといえます。
2 遺産分割協議書を作成しないといけない手続きもある
不動産の登記手続きにおいては、遺産分割が必要なときは、遺産分割協議書と印鑑登録証明書の提出が求められますので、これを作成しなければ、手続きが進められません。
相続税の申告においても、遺産が全部分割されたとして申告するためには遺産分割協議書が必要になりますので、このために遺産分割協議書を作成する必要があります。
このように遺産分割協議書を作成しなければ手続きが進められないというケースもありますので、そのような場合には、手続きが進められるような遺産分割協議書を作成する必要があるということになります。
いずれにしろ、遺産分割協議書を作成しておくことは、後日の紛争になることを予防する効果がありますので、これを防げるような内容の協議書を作成しておかれることをおすすめします。