相続税の「延納」について
延納とは
相続で多額の財産を手に入れたとしても、現金がなければ納税資金を準備する事ができません。
財産を売却して準備しようとしても様々な事情で簡単に換金できないこともあるでしょう。
そうした場合には、延納を利用することができます。
延納の条件
延納とは、相続税を分割で支払っていく方法です。
延納を選択するためにはいくつかの条件を満たす必要があります。
①相続税額が10万円を超えていること
10万円以下の金額では納税困難とはみなされません。
②納税期限までに納税することが困難である理由があること
現金などを相続していて納税資金があるにもかかわらず延納を選択することはできません。
③担保を提供すること
延納の納税額が100万円未満で期間が3年以下の場合は不要ですが、それ以上の場合には担保が必要になります。
担保としては「土地」「国債や地方債」「社債や有価証券」などです。相続した財産が担保として認められない場合には、相続人が自分の財産を担保にすることもできます。
延納の期間、その他
延納の期間は原則5年ですが、相続した資産の種類によってはさらに長期の延納を認められる場合もあります。
相続した財産のうち50%以上が不動産である場合には、最高15年まで延納が可能です。
不動産は換金が難しく、換金できたとしても思うような価格で売却できるとは限りませんのでこのような特例が認められています。
さらに、相続財産のうち75%以上が不動産や被相続人が事業用として利用していた減価償却資産である場合には、これらの資産に対応する税額分を最長20年まで延納できます。
この場合、20年に該当しない資産は最高10年になります。
延納を利用できたとしても、利息を国税庁に支払わなくてはいけません。
これを利子税といいます。
計算式が複雑なのでここでは割愛しますが、決して安い利息ではありません。
また相続した資産の種類や割合によって軽減はあります。