名義預金とは

作成者:司法書士 岡田智大

作成日:2024年01月24日

名義預金とは

 名義預金というのは、預金口座の名義人と実際に入金や管理を行っている人が異なる場合の預金を指します。

 具体的なケースで見てみましょう。

 例えばAさんが奥さんと子供に生前贈与としてお金をわたし、そのお金を奥さんと子供の口座に入金しましたとしましょう。

 その口座はAさんが2人に黙って贈与のために新規でつくった口座のため必要な銀行印もAさんのもの、Aさんと2人のあいだで贈与契約もなされていないのが実情です。

 その状態でAさんは生前贈与としてお金を入金し続けました。

 その後Aさんが亡くなった後に税務調査が入ったとき、口座の本当の名義人が誰なのか、口座のお金は誰のものなのかが追求される可能性があります。

 意図的な相続税逃れの場合でも、善意で密かに家族に財産を残そうとした場合でも、税務調査では名義預金としてみなされ相続税の課税対象になります。

 良かれと思って残した預金が名義預金にみなされ、相続税の申告から漏れ、結果として延滞税や加算税が発生してしまいます。

 知らず知らずのうちに名義預金を行ってしまっていないか、資産の管理には注意が必要です。

具体例

 気づかないうちに名義預金となってしまうケースでよくあるのは妻の「へそくり」としての預金と「未成年者口座への預金」です。

 妻の「へそくり」としての預金は、家計を管理している妻が夫名義の口座からすこしずつ妻名義の口座にへそくりとしてお金を移動させていた場合です。

 夫が亡くなり相続が発生した時に妻名義の預金がまとまった金額になってしまっていると、税務調査に入られた場合かなりの確率で夫の名義預金とみなされてしまいます。

 「未成年者口座への預金」は、基礎控除110万円の範囲内で子供や孫名義の口座に本人たちに黙って毎年預金している場合です。

 贈与は双方の合意がなければ成立しません。

 そのため、相手の了承を得ずに勧められた贈与は根本的に成立せず、税務調査が入ったときに子供・孫名義の預金であっても名義預金としてみなされる確率が高くなってしまいます。

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