相続放棄のメリット・デメリット
1 相続放棄とは
相続放棄とは、相続開始後に相続権を放棄することをいいます。
相続放棄は、遺産の積極財産(現預金などプラスの財産)と消極財産(債務などのマイナスの財産)のいずれも相続することを否定することになります。
例えば、遺産のうち積極財産よりも消極財産のほうが多く、遺産を承継することで損害を被るようなことが確実であるような場合には、相続放棄をすることが有用といえます。
2 相続放棄のメリット
相続放棄のメリットとしては、被相続人の負債を承継しなくても良いことにあります。
相続放棄を行うと相続放棄をした人は初めから相続人ではなかったものとみなされます(民法第939条)。
そのため、被相続人に借金があったとしても、相続放棄をすれば借金を承継しなくても良いことになります。
また、被相続人が不動産を所有しており、その不動産の管理に費用が掛かってしまう場合も、相続放棄をすればその不動産を承継しなくて良いことになります。
ただし、相続放棄をした人が、相続財産を占有していた場合には、相続財産清算人に引き継ぐまでは一定程度の保存義務を負担することになっています(民法第940条第1項)。
3 相続放棄のデメリット
相続放棄はプラスの財産もマイナスの財産も共に相続することを否定するものであるため、相続放棄をしてしまうとプラスの財産を承継することができません。
また、相続税との関係では、相続放棄をした人は、死亡保険金や死亡退職金についての非課税枠(500万円×法定相続人の人数)の適用を受けることができなくなります。
また、相続放棄をした人は、債務控除や数次相続控除も受けることができなくなりますので、注意が必要です。
このように相続放棄にはメリットだけでなく、デメリットもあります。
後から後悔をしないためにも、相続放棄を希望する場合には、まず一度専門家に相談することをおすすめします。