相続税対策の注意点

文責:税理士 井川卓磨

最終更新日:2023年07月05日

1 名義預金と誤解されないように注意

 相続税対策の中で最もよく行われている対策の一つは、生前贈与です。

 生前贈与は、正しい知識のもとに行うのが効果的です。

 しかし、多くの方が相続税対策になると勘違いされているものとして、名義預金が挙げられます。

2 名義預金とはどのようなものか

 名義預金とは、被相続人がご生前に相続人などの名義の預金口座にお金を入金しているものの、その預金は被相続人自身が管理しており、相続人の預金とはいえないものをいいます。

 例えば、祖父が孫の名前の口座を作り、そこに毎年110万円ずつ入金をしているとします。

 孫はその口座の存在すら知らず、通帳やカードも祖父が持っており暗証番号も祖父しか知らず、孫はその口座に入金されたお金を使ったこともないような場合が典型例といえます。

3 納税者と税務署の認識のずれ

 被相続人・相続人などの納税者は、名義預金も生前贈与として成立しており、孫の名前の口座のお金には相続税がかからないと考えていることが一般的です。

 ただし、税務署では、このような名義預金は、あくまでも被相続人の財産であり、相続税がかかる対象だと考えています。

 このため、名義預金が申告対象から漏れていると、税務調査がなされ、税務署の側から申告漏れの指摘がなされるおそれがあります。

4 正しく贈与を行うことが大切

 名義預金であると税務署から誤解されないように、正しく贈与を行うことが大切です。

 例えば、贈与する側ともらう側で贈与契約書を作成するなどの方法があります。

 ただ、贈与契約書は作っているものの、口座のお金をもらった側が全く使っていない、暗証番号も知らない、通帳もカードも持っていないといった状態では、それは贈与があったとはいえませんので、贈与契約書を形式的に作っているだけでは名義預金と認定される可能性が高いといえます。

5 相続税対策のご相談は相続に詳しい税理士へ

 相続税対策を正しく行い、税務署から誤解されないようにするためには、適切な相続税の知識・理解が必要となりますので、相続税に詳しい税理士にご相談されることをおすすめします。

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