相続と税務調査
【税務調査とは】
所得税や法人税と同様に、相続税にも税務調査が入ります。
相続税は申告書に基づいて決定します。
その申告書に誤りや不明点があり、税務署が詳しく調査する必要があると判断された場合に税務調査が入ります。
【税務調査が入る確率が高い】
相続税は所得税など他の税金に比べると、税務調査が入る確率が高いのが特徴です。
他の税金は税務調査を受ける確率は数%ですが、相続税は約10%近くの確率で税務調査が入る傾向があります。
さらにそのうちの8割以上の人が何かしらの申告漏れを指摘されています。
【「現金・預貯金」の申告漏れが最も多い】
申告された財産で申告漏れの指摘件数を種類別に見ると、「現金・預貯金」の申告漏れが最も多くなっています。
その申告漏れ金額は全体の4割近くにまでおよんでいます。
一件当たりの金額の大きい「土地」や「家屋」を抜いて「現金・預貯金」が申告漏れ対象になっているには理由があります。
それは、その金融資産の実質的な所有者がだれかという問題です。金融資産においては、名義が誰かという点はあまり重視されません。
それ以上にその金融資産を誰が稼いだか・購入したかによって所有者が決定されます。
故人の家族の専業主婦や未成年の子供名義のような、稼ぎのない人物の金融資産には注意が必要です。
このようなうっかりの申告漏れを防ぐためにも、相続財産の整理には被相続人名義の資産だけでなく、そこからのお金の流れまできちんと把握することが必要です。
【申告漏れのペナルティ】
税務調査が入り申告漏れが確認された場合、修正申告が求められ、税金を追加で支払う必要が生じます。
加算される税にはいくつか種類があります。
延滞税…納期限に遅れて納税した時に発生。通常1年間のみですが、重加算税がかかる場合は全期間が対象となります。
過少申告加算税…期限までに申告納税したが不足があった場合に発生。税務調査が入る前に自己申告で修正した場合はかからない。
無申告加算税…期限までに申告納税しなかった場合に発生。税務調査が入る前に自発的に申告した場合は5%の追徴課税のみ。
重加算税…仮装隠ぺいなど故意に税を軽減しようとしたときに発生。過少申告なら35%、無申告なら40%追徴課税が課される。
【まとめ】
税務調査と聞くと怖いイメージがついてきますが、実際は強制調査ではなく納税者の承諾を得た後の任意の調査です。
事前に調査の連絡も入るため、準備をすることも専門家に立ち会ってもらうことも可能です。
税務調査を過度に恐れないためにも、前々から資産の整理や相続についての最新の情報収集をしていきましょう。